[今日の絵] 8月後半
14 Hans Holbein : Self-Portrait 1543
ホルバインはこのとき45歳、小さな細密画だが精悍な画家本人が見事に描けている、眼は細いが鋭い
15 Artemisia Gentileschi : 殉教者聖カテリーナに擬した自画像1616
罵倒に耐えながら画家として成長したアルテミジア、表情が「きつい」のはそのためか、23歳の作品、同じ彼女をSimon Vouetが1625年に描いた絵では、目つきは鋭いが普通の画家の姿
16 Rembrandt : Self-Portrait 1630
レンブラント1606-69の人物画はどれも、描かれた人の内面を深く表現している、これは24歳だが、画家としての自分にやや自信を持てていないのかもしれない、それが、ラファエロ、デューラー、アングル、ピカソ等の若い時の自画像との違いか
17 Judith Leyster : Self-Portrait 1630
ユディト・レイステル1609-60はオランダの女性画家、これは21歳の自画像だが、自分を美人に描こうとはしていない、ハルスと同様、彼女の人物画は笑っているところが多く、この絵もバイオリンの男性は笑っており、描いている画家も楽しそう
18 Élisabeth Vigée Le Brun : Self-portrait at age sixteen 1771
マリー・アントワネット付き宮廷画家だったル・ブランは、自画像もたくさん描いている、16歳の彼女は、いかにも瑞々しい少女だが、眼つきは鋭い
19 Antoine-Jean Gros : Self-portrait 1795
アントワーヌ=ジャン・グロ1771-1835はフランスの画家、ナポレオンを描き、ナポレオンに重用されたので有名だが、最後は、古典主義絵画の行き詰まりを感じてセーヌ川に身投げ。これは24歳の自画像、強い自信、野心を感じさせる
20 Pissaro : Self-portrait 1873
ピサロは43歳、やっと絵が売れ、初めて経済的に自立できた頃、彼は印象派の最年長だった、ピサロは風景画が有名だが、人物もたくさん描いており、どれも描かれた人物への優しい愛情が感じられる、この自画像も、彼の優しい人柄が感じられる
21 ルノワール : 自画像1876
この絵のルノワール1841-1919は、画家としてようやく評価されだした頃だが、まだ絵は売れず、サロンでも評価されなかった、だからか、自信に満ちた「大家」の風貌にはまだ遠い
22 Monet : ベレー帽の自画像 1886
モネ1840-1926が二番目の妻アリスとジヴェルニーに転居して3年後、モネらしさが全開の絵、シンプルなタッチだが、黒いベレー、やや暖色系の顔、白いシャツ、灰色のコート、薄いブルーの背景など、<光>を受ける色の美しさ、寒色系の明るい輝き。視線もいい
23 Ilya Repin : Self-portrait 1878
イリヤ・レーピン1844-1930はウクライナ出身のロシアの画家、基本はリアリズム、著名人を含む多数の人物画を描いた、ほぼ同時代生まれのマネ1832、セザンヌ1839、モネ1940、ルノワール1841等に匹敵する卓越した画家と思う、これからも彼の絵はたくさん見たい
24ゴーギャン: 自画像1893
ゴーギャン1848-1903は、人間の肉体の存在感を描くという点では、ピカ一ではないだろうか(鑑賞者の好き嫌いはもちろんあるが)。この絵は、2年間のタヒチ滞在を終えて、いったんヨーロッパへ帰った頃か
25 Picasso : Self-portrait 1901
パリに着いたばかりの19歳のピカソ、自信と野心に溢れた芸術家の顔だ、1989年にこの絵はサザビーズで販売され、4,785万ドルだった
26 Gambogi : Self-Portrait 1903
エリン・ガンボギ1861-1919はフィンランドの女性画家、表情に深みのある人物画を描いた、自画像も何枚かあるが、すべて「こういう表情の顔」なので一目で分る、カッコつけている感じはない
27 Egon Schiele : 自画像1907
シーレ1890-1918は、人間の肉体性の特有の表現に特徴があり、自画像もたくさんあるが、17歳のこの絵はまだシーレらしくなく、「白面の美少年」ふうだ、1905年の自画像も然り
28 Diego Rivera : Self-Portrait 1907
ディエゴ・リヴェラ1885-1957はメキシコの画家、キュビズムの影響を受け壁画も描いた、多数の女性画家と付き合い子どもをたくさん残したが養育費を払わなかったと言われる、フリーダ・カーロの夫だった時期も、22歳の自画像は、いかにもカッコつけている
29 Matisse : Self Portrait 1918
スーツにネクタイ、オジサン顔で、芸術家らしくない、なんかユーモラス。写真で見る実際のマティスは、医者の白衣のような薄手の仕事用コートを羽織っていたようだ。大胆で単純な色彩と、描く指にグッと力が入っているのがいい、と評されている
30 Marisa Roësset Velasco : Self Portrait 1924
マリサ・ロセット・ベラスコ1904-1976はスペインの女性画家、凛々しい女性の絵をたくさん描いた、これは20歳の自画像、瑞々しい少女が静かに腰かけている姿が美しく、鑑賞者をじっと見詰める眼がとてもいい
31 Marie Laurencin : Self-Portrait
マリー・ローランサン1883-1956はフランスの女性画家、詩人ギヨーム・アポリネールの恋人だったが、自身はレズビアンでもあり、女性同士の愛の絵『接吻』が代表作か、彼女には女性美の理想があったようで、彼女が描く女性はすべてこの自画像のような女性