[今日の絵] 9月後半

[今日の絵] 9月後半

16 Dürer : 13歳の自画像1484

当時、自分一人を描く「自画像」は非常に珍しかった中で、堂々と自分だけを描いたのがデューラーと言われる、彼は28歳の時自分をキリストになぞらえた自画像を描いているが、これはそれより15年前、それにしても線の見事さには驚かされる、顔や手の表情の豊かさ!

 

17 Rubens : Self-Portrait 1620

43歳のルーベンス1577~1640、自画像はたいてい帽子姿なので、これはやや老けて見えるが、彼は眼が魅力的な人だ、「鋭い」というよりは「真面目な」眼、何かを一生懸命「見ようとしている」眼、漱石のように、ルーベンスは眼が美しい人だったのかもしれない

 

18 Anthony van Dyck : 14歳の自画像1613

ヴァン・ダイク1599~1641はフランドルの画家、イギリスで宮廷画家としても活躍した、21歳の自画像は、自分を上品な貴族のように描いているが、この絵もいかにも上流階級の少年に見える、若くして卓越した技量をもち画家として自立、その後、ルーベンスの筆頭助手も務めた

 

19 Camille Pissarro : Self portrait 1900

カミーユピサロ1830~1903は、フランス印象派の画家、田園や街の中の人々をたくさん描いた、この自画像は最晩年のものだが、いかにも味わいのある顔をしている。声をかけられて、ちらっとこちらを見たかのような視線がいい。

 

20 Otto Dix : 小さな自画像 1913

サイズは35×29cmで特別小さくはないが、謙遜なのか、オットー・ディックス1891~1969はドイツの新即物主義で社会派の画家、戦争の悲惨や荒廃を描いた、本作は22歳の学生時、同時代のドイツ社会に非常に批判的だったらしいが、この絵もいかにも真面目な人に見える

 

21 Frances Cranmer Greenman : Self Portrait 1923

フランシス・クランマー・グリーンマン1890~1981はアメリカの肖像画家、評論家、彼女の画風はモダニズム系で、この絵も、シンプルで形と色彩のバランスが美しい、空と帽子が濃紺で重く、下部の河、大地、家々が白系で軽いのがいい、そして目がどこか腫れぼったく、重い

 

22 Frida Kahlo:Self portrait with Necklace 1933

フリーダ・カーロ1907~54はメキシコの画家、インディヘニスモ(=ペルーの先住民族)であり、メキシコ共産党員、そして彫刻家イサム・ノグチや革命家トロツキーの愛人だった時期もある、この自画像は、強い意志をもつ革命家の顔だ

 

23 Tove Jansson - Smoking Girl (Self-Portrait) 1940

トーベ・ヤンソン1914~2001は、フィンランドの画家、作家で「ムーミン」シリーズの作者。この「煙草を吸う少女」は26歳の自画像、ツッぱった娘ふうの感じがとてもいい、最初の「ムーミン物語」が1945年だから、まだ彼女の画家時代といえる

 

24ギュスターヴ・クールベ:セーヌ河畔のお嬢さんたち1856

カップル社会と言われる西洋だが、女性だけが一緒にいる絵も多い、「女子会」という言葉はないかもしれないが、男性がいる時といない時では、話題、雰囲気、話す態度などがたぶん違うだろう、この絵も、もし男性が一緒ならばこういう姿勢はしないかも

 

25 Boldini : Gossip, 1873

ボルディーニの描く女性たちはほぼ上流階級だから、この絵もそうだろう、タイトルは「ゴシップ」、たぶん「友人や知人の男女関係のもつれ」だろう、この話題は階級を問わず女子会は大いに盛り上がる

 

26 Gauguin : パラウ・パラウ(おしゃべり)1891

ゴーギャンが43歳のとき、タヒチ島で描いた絵、女性たちは輪になって楽しそうにおしゃべりしている、姿勢がさまざまに自由で、リラックスした女子会のいい雰囲気が感じられる

 

27 Henri Gervex : Five Hours at Paquin 1906

アンリ・ジェルベクス1852 – 1929はフランスの画家、マネと交流があり、女性の絵をたくさん描いた、「パカンでの5時間」という意味はよく分からないが、大きなパーティでの女性の控室だろう、会心の衣装を身につけられた人とそうでない人がいることが表情から分かる

 

28 Thomas Benjamin Kennington : Relaxation 1908

トマス・ケニントン1856-1916)は、イギリスの画家、労働者階級の絵をたくさん描いた、この絵は、被服産業で働く女性たちの休み時間の光景だろう、左側の女性が何かの記事を読んでおり、ニュースを共有しようと残りの人は聞いている、まじめな女子会だ

 

29 Mario Tozzi : The morning Coffe 1924

マリオ・トッツィ1895~1979はイタリアの画家、この絵は、裕福な家のお嬢さんか、左は少しあせっている女中さんなのか、朝のコーヒーが早く飲みたくて、ベッドから下着のまま出てきちゃった、男性の執事ならこういうことはないが、やはり女性だけだとつい油断してしまう

 

30 Herbert Badham : On the Roof 1928

ハーバート・バダム1899-1961はオーストラリアの画家、場所はシドニーらしいが、「屋上で」ゆったり休んでいる有閑マダムの雰囲気がよくでている、右は少し若いお嬢さんかもしれない、服はもちろん、帽子や傘の形から、時代がよく分かる