久しぶりに伊香保の原美術館ARCに。八重桜と新緑とタンポポが美しく、ジャネット・カーディフ「40声のモテット」が素晴らしかった。40個のスピーカーから、5声からなる8つの合唱団の声が聞こえる。自分が、アインシュタイン相対性理論の時空の統一体の中に「ゐる」という経験をさせてくれた↓。
ニュートンは絶対時間と絶対空間を分離し、時間と空間をそれぞれ独立させた。音楽は二次元の線型性をもつ時間芸術だから、三次元の空間藝術である美術とは異質のものに思われるかもしれない。しかし、そうした予断は見事に打ち砕かれた。普通、コンサートホールで聴く音楽は、空間の中のある特定の方向から聴こえてくる。しかし、この「40声のモテット」は、上下左右前後360度球面全体から声が聴こえてくるので、旋律の時間的進行とともに、様々に異なる空間性が周囲に次々に立ち上がり、新しい建物がどんどん建つ感じだ。時間と空間の統一のかすかな揺らぎを通じて、統一そのものを感じさせる。なるほど、宇宙の中心に自分がいるとは、あるいは、神の天地創造とは、こういうことなのか。
美術館がこのような試みをするとは嬉しい。秋にも次の試みがあるそうで、待ち遠しい。