[今日の絵] 8月後半
20 フランツ・ヴィンターハルター : 大公女オリガ・ニコラエヴナ1856
今日からは「花と女性」、女性の肖像画には花も描かれていることが多い、互いに引き立てあうのか、この絵ではバラが手前に突き出すように保たれている、モデルは皇帝ニコライ一世と皇后アレクサンドラ・フョードロヴナの次女、画家1805~73は宮廷肖像画で名高いドイツの画家
21 Monet : La liseuse 1874
タイトルは「読書好きの女性」、大きく拡がったスカートの上に白い花びらが散っている、そして手前の草地には黄色い花、そして右奥にもたぶん花がある、モネのこの絵では、花は光を発する光源のようなものなのか
22 Renoir : うちわを持つ女 1881
1879年頃からルノワールは画家として高く評価され始めたが、彼は、当時印象派に流行していた日本趣味の影響を受けなかった。これは例外で、女優ジャンヌ・サマリーに日本製の安っぽいうちわを持たせている、しかしうちわよりは、左側の花がとても印象的だ
23 Georges Seurat : 日傘の女1884
ジョルジュ・スーラ1859~91は新印象派と呼ばれたフランスの画家、点描を用いて、絵を見る人の視覚において色を合成した、この絵は点描ではなさそうだが、花の形は判明ではなく、花が「図」であるよりは「地」になっている感じで、全体の色彩がとても美しい
24 Gauguin : 未開の物語 1902
翌年死んだゴーギャンの最後の作品の一つ、右側は少女、中央は少年、左側はブルターニュで聖書論議を戦わせたメイエル・デ・アーン、この絵でゴーギャンはそれまで研究してきた様々な神話を集大成したとされる、手前、右、上部の花は何か象徴的な意味をもっているのだろう
25 藤島武二 : 匂い1915
中央にある小さな美しい容器は「鼻煙壺」(=嗅ぎ煙草入れ)、左側の花と鼻煙壺の組み合わせによって、タイトルのように「匂い」を楽しんでいる女性を描いているのか、女性の表情もそんな感じがする、身体はやや立体感に乏しいが、花、花瓶、テーブル、身体の全体的均衡が素晴らしい
児島虎次郎1881~1929は岡山出身の洋画家、大原孫三郎と親しく大原美術館の基礎となった絵は彼がヨーロッパで収集した、この絵は、少女が爪先立ちに背伸びして、ジョウロで朝顔に水をやっている、その身体の動性がとても美しい、花と人を一緒に描く意味がそこにある
27 Charles Courtney Currin : Betty Newell 1922
チャールズ・コートニー・カラン1861~1942は、女性をたくさん描いたアメリカの画家、この絵のタイトルは少女の名だが、花が背景というわけでもない、写真でいえば少女にも花にもともに等しく焦点が合っている
28 Matisse : The Daisies 1939
天秤の両側が中心でぴたっと釣り合うように、複数の形/色彩の拡がりが、あたかもベクトルのように絶妙に均衡し、それぞれの単純な線に「力」がこもっているのに、全体が安定している
29 Edward Cucuel : Young woman reading in the garden
エドワード・キュクエル1875-1954は、アメリカの印象派の画家、これは「庭で読書する若い女性」というタイトルの二枚組の一枚、一枚目は熱心に本を読んでいるが、二枚目は少し疲れたのか本を頭に当ててちょっと休んでいる、花に取り囲まれてリラックスしている感じが優美
30 Picasso : 花とジャクリーヌ 1954
モデルはピカソの二番目の妻ジャクリーヌ・ロック1927~1986、ピカソは1953年に彼女に一目惚れし、毎日バラの花を持参して求愛した、それ以来、彼女を400枚以上も描いている、この絵もバラの花と思われるが、単純な線で彼女の美しさをシャープに表現しており、花や衣服との均衡もすばらしい
31 Chagall : ヴァヴァの肖像 1966
1952年、シャガールはヴァランティーヌ・ブドフスキー(ヴァヴァ)と知り合い、結婚。彼女はその後30年間、シャガールのミューズで、それ以降の彼の絵の女性はヴァヴァがモデル、この絵の彼女は61歳、花と並んで一緒に傾いているのがいい