[今日の絵] 8月後半

[今日の絵] 8月後半

16Paris Bordone :ヴェネツィアの恋人1527

「恋」を描いた絵は多いが、平安時代の和歌と同様、恋の難しさ辛さが主題になっている場合が多く、ラブラブの絵は少ない、パリス・ボルドーネ1500~1571はイタリア・ルネサンス期のヴェネチア派の画家、宗教画、神話画、肖像画を描いた、ティツィアーノの影響が強い

 

17 ポール・ドラローシュ : フィリッポ・リッピとルクレツィア・ブーティ1822

19世紀の絵だが、リッピ1406~69はローマ法王にも寵愛されたルネサンス期の巨匠(下は23歳の自画像)、50歳の時、23歳の美人修道女を誘惑して愛人にし大スキャンダルに、これがその絵、だがコジモ・デ・メディチの取り成しで罰せられず

 

18 ルノワール:散歩道1870

画家29歳の初期作品、林の中を歩く恋人たちは当時よく描かれた主題、木漏れ日の光などルノアールらしい工夫がみられる、デートに熱心な男性がとても嬉しそうなのに対して、女性の表情はそれほどでもない

 

19 Frederik Hendrik Kaemmerer : Tea in the Garden, autumn 1870

ケンメラー1839–1904はオランダ生まれでパリで活動した画家、最後は自殺したといわれる、この絵は、秋の、枯葉散るテラスでお茶する二人、でも足元の倒れた籠といい、彼女は機嫌が悪いのかも

 

20 Edmund Blair Leighton : Yes or No? 1890

レイトン1853~1922は英国の画家、ヴィクトリア朝に特有の甘美な画風の人、中世の騎士などを描いた、この絵は当時の男女だろうが、男性が求愛しても女性はYesと言わないことの方が多かったのだろう

 

21 William Brymner : In the Orchard (Spring) 1892

ウィリアム・ブリムナー1855~1925はスコットランド生まれのカナダの画家、風景や人々の生活を味わいのある画風で描いた、この絵は、花の咲き始めた春の果樹園を散歩する恋人だろうか、だが二人の表情はどこか重苦しく、さえない

 

22 Ferdinand Julius Fagerlin:The Desperate Suitor 1896

ファーゲルリーン1825~1907はスウェーデン生まれのドイツの画家、生活する人々の表情を生き生きと描いた、この絵は求婚する男で、左手に小さな花を持参しているが、女性の表情からしてまったく希望はもてない、求婚にしては体勢がよくないのではないか

 

23 Talbot Hughes : 秘密の逢引き1898

タルボット・ヒューズ1869~1942は英国の画家、歴史的な衣装をつけた肖像画を描いた、この絵も、おそらく同時代の服装ではない、森の中といい、どこか寓話的に描かれている

 

24 ジョン・ウィリアム・ゴッドワード: 80歳と18歳1898

左は富豪の老人か、「ぜひ後妻に」とプロポーズしたのか、彼女は、「年齢差がありすぎる、でも夫はすぐ亡くなるだろう、その後は未亡人として財産をすべて相続し、恋愛も自由だから、それもありかな」と思案か

 

25 Henri Tanworth Wells : Victoria Regina 1887

ウェルズ1828~1903は英国の画家、細密な肖像画を描いた、これは代表作だが、恋の絵ではない、1837年6月20日、若いヴィクトリア王女が早朝に起こされて、父王の死を受けて女王に就任したことを知らされた瞬間のシーン、跪いているチェンバレン卿の仕草は恋人のようだ

 

26 Picasso : Man and woman in café 1903

「青の時代」1901~4のピカソの絵は、どれも悲しみの感情が溢れている、この絵も、カフェの恋人たちなのだろうが、二人に当然あるべき「喜びのようなもの」が感じられない

 

27 Laurens Alma-Tadema : これ以上聞かないで1906

ローレンス・アルマ=タデマ1836~1912はイギリスの画家、古代エジプトなどの神話的な絵が多い、この絵も実景というよりはどこか神話的、左の若い男性(異国の王子様?)が花束を持参し求愛したのだろうが・・

 

28 Munch : 二人、孤独な人たち1934

ムンクに描かれる人はほとんどが寂しそうだ、この二人もそれぞれが孤独な恋人か、空が分割されているのが不安な気分を醸し出している

 

29 Edward Hopper : Summer evening 1949

ホッパー1882~1967の絵はすべて、アメリカ人がいかにもアメリカ人らしく描かれている、都会と田舎と両方描いたが、これは田舎の恋人たち、男の子は真剣に熱心に口説いているが、女の子はあまり乗り気ではなさそう

 

30 Jacqueline Osborn : Table in the Corner 2014

ジャクリーン・オズボーンは現代イギリスの女性画家、割と古風な服装の男女を描く人だが、この絵は今の男女だろう、夕陽に映る椅子や足の長い影が印象的だ、二人の関係はあまりうまくいっていないのだろう

 

31 Dennis Sarazhin

デニス・サラジン1982~はウクライナ生れの画家、熱い感じの肉体を描く人、この絵では女性はそうでもないが(肘から先の手はともかく)、手前の男性の肉体性がそう、古い大きな木の舟に乗っているが、舟も独特の肉体性を感じさせ、彼女が手にしている小さな花が美しい