[今日の絵] 11月後半

[今日の絵] 11月後半

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17 de Vinci  : 洗礼者ヨハネ 1515頃

ダヴィンチの事実上の遺作、「洗礼者ヨハネ」だが、何だかセクシー、キリスト教の聖人をセクシーな肉体として描いたのはバロック期からと言われるが、本作は少し早い、この絵は19世紀のデカダン派詩人に大きな影響を与えた

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18 Correggio : キリストの頭部 1528頃

ヴェールにキリストの顔が浮かんだとされる「聖ヴェロニカの奇蹟」から主題が取られた絵、サイズが28.6×23.5cmと小さいので、発注者の個人の信仰のために作られたといわれる、処刑されたゴルゴダの丘へと連行されるイエスの悲しみに満ちた表情を描いている

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19  Dürer : カーネーションの聖母1516

聖母の顔は正確な比例の法則によって描かれており、その視線は絵の鑑賞者よりさらに遠くを見ている、聖母の持つ小さなカーネーションダヴィンチに同じ絵があり(キリストは梨は持っていないが)、カーネーションは血=キリストの受難を表しているといわれる

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20 Caravaggio : トカゲに嚙まれた少年 1596

モデルが誰か議論があり、よく描かれた少年マリオ・ミンニーティか、あるいは偽装されたカラヴァッジョ本人という説もある、トカゲは「有毒なサンショウウオが神に打ち勝つ」という寓話に由来するという説もある、いずれにせよ少年の驚きと恐怖が見事に描かれている

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21Hals : 酒を飲む少年(味見) 1628

ハルスの描く人物は、本当に生き生きした表情をしている、この少年は左手に水差を持っている、ちょっと味見してみたのだろう、子供っぽい顔だし、まだお酒を飲む年ではなさそう

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23 Rubens : エレーヌ・フールマンの肖像1630

同年12月に53歳のルーベンスは二番目の妻エレーヌ・フールマン16歳と結婚した。エレーヌをモデルに肉感的な女性をたくさん描いており、私的な絵として、裸体に毛皮だけで「恥じらいのヴィーナス」のポーズを取らせた「毛皮をまとったエレーヌ・フールマン」もある

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24 Cezanne :ドミニク叔父さん1866

セザンヌ26歳の時の絵、彼は、母方の叔父アントワーヌ・ドミニク・オーベールを何枚か描いた、修道士姿の絵もあり叔父は修道士なのか、セザンヌはパリサロンで落選が続き、デビュー以前、1870年には兵役逃れに母親が故郷に家を用意、親族は彼に優しかったのだろう

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25 Manet : フードを被ったマルグリット・ド・コンフラン 1873

マネは彼女の絵を数枚描いている、この絵は通常の姿勢とは異なり、リラックスしたポーズで、このポーズをマネは描きたかったのだろう、この女性はマコンの騎兵隊長の娘

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26 Renoir : 自画像 1875

ルノワール34才、前年に第1回印象派展に出展、この年はマネ等とともに競売会を開くが、売れず、この絵は、顔に輝くような明るさがあり、光の特性を生かしている、まだ収入は少ない頃で、この顔にもやや緊張が伺われるか

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26 Benson : 夏に 1887

F.W.ベンソン(1862~1951)は家族をたくさん描いた、女性はたいがい白い服を着て戸外ににいる、この絵は彼の初期作品、白い服と戸外は同じだが、後年の特徴であるフワッとした感じはあまりなく、顔はキリッとして美しい

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27 Picasso : 若い男の胸像 1895

ピカソはたぶん14才、「神童」と言われていたが、この絵を見ても、他の画家と比して、体の立体的、三次元的な把握が抜群に優れていることが分る、後年、キュビズムという新しい手法に傾倒したのも、モノの三次元的把握に特別の関心があったからだろう

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28 Modigliani : ジャンヌ・エビュテルヌ 1919

モディリアニは愛人ジャンヌをたくさん描いているが、この絵は眼が白目や青目ではなく、まともで、もっとも美しい一つではないか、彼は1920年1月24日に死に、彼女は2日後に飛び降り自殺、妊娠9か月だった、この絵の彼女は死の前年で、悲しい絵となった

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29 Matisse : かしげた顔の女性(ロレッテ) 1917

アンリ・マティス(1869~1954)の第一次大戦中の絵、戦争中で職業モデルが不足したが、パリでマティスはロレッテという10代後半のイタリア人女性をモデルに、何枚も彼女の絵を描いた、魅力的な女性で、マティスの長男ピエールは彼女に恋をした

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30 Benny Andrews : Mr. America, 1967

ベニー・アンドリュース(1930~2006)はアメリカの画家、「ミスター・アメリカ」というのは典型的なアメリカ人という意味なのだろうか、たしかにアメリカ人らしい顔に見える