[折々の言葉]  7,8月ぶん

[折々の言葉]  7,8月ぶん

 

キリスト者は真の神を知って、この世を愛さない。(パスカル『パンセ』) 7.3

 

人間はもはや芸術家ではない、[人間そのものが]芸術作品となったのである。(ニーチェ悲劇の誕生』) 7

 

より気にかかることがあると、記憶の力はしばしば奪われてしまうものです。(ダンテ『神曲・煉獄篇』) 11

 

コペルくん、人間としてこの世に生きているということが、どれだけ意味のあることなのか、それは、君[自身]が本当に人間らしく生きて見て、その間にしっくりと胸に感じ取らなければならないことだ。・・はたから誰かが教え込めるものじゃあない。(吉野源三郎君たちはどう生きるか』) 14

 

ルビーの首飾りのように肌身離さず私についていて、愛しい人。指輪のように私に巻きついて。私のボタンホールにあなたのバラをください。あなたを朗読する前に、あなたの葉(ページ)を最後までめくらせてね。(ジャネット・ウィンターソン『詩としてのセックス』) 17

 

コペルくん、僕たちの心に感じる悲しみや苦しみは、人間が人間として正常な状態にいないことから生じている。そのことを僕たちに知らせてくれるから、・・その苦痛のおかげで、人間というものが本来どういうものであるべきかを心に捉えることができる。(吉野源三郎君たちはどう生きるか』) 21

 

言葉というもの、行為の熱をさます冷たい息にすぎぬ。(シェイクスピアマクベス』) 24

 

この世には名づけられていないものがたくさんある。そしてまた、名づけられてはいても説明されたことのないものがたくさんある。(ソンタグ『反解釈』) 28

 

怒りを隠してこそ、仕返しはうまくいく。(コルネイユ『舞台は夢』) 31

 

圧制との戦いの第一歩は、自分のすべきことをして、自分の良心を満足させることだ。(アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』) 8.4

 

彼女たち[=妻]がほしがっているのは、夫ではなく、放恣な結婚生活なのだ。夫なしでもやっていける手段がいくらでもあるのに、夫などなんの必要があろう。(ルソー『エミール』) 7

 

そのうち彼女が急に顔を上げて、私をじっと見つめたかと思うと、それを再び伏せながら、いくらか上ずったような中音で言った。「私、なんだか急に生きたくなったのね・・」、それから彼女は聞こえるか聞こえないかの位の小声で言い足した。「あなたのお陰で・・」(堀辰雄風立ちぬ』) 11

 

人が人を好きになった瞬間って、ずーっとずーっと残っていくものだよ。それだけが生きてく勇気になる。暗い夜道を照らす懐中電灯になる。(『東京ラブストーリー』赤名リカの科白) 14

 

そう思うと、トニオの胸はきりきりと痛んだ。でも彼はやはり幸せだった。なぜなら、このとき彼の心は生きていたからだ。温かく、悲しく、それは、インゲボルグ・ホルム、君のために鼓動していた。そして恍惚たる自己否定のうちに、金髪で、屈託がなく、溌溂とした、君というその平凡な小さな存在を、抱きしめていた。(T・マン『トニオ・クレーゲル』) 18

 

けれども私は、[少女たちの]一人一人をまだ見分けることができなかった。・・[いろいろな特徴が]わずかに見分けられるばかりで、しかしこうした特徴でさえ、私はその中のどれ一つをも、他ならぬこの少女のこの少女の特徴であるというように特定の一人にしっかりとは結び付けていなかった。(プルースト失われた時を求めて』) 21

 

それは幻のようであった。彼女はベンチのまん中にたった一人で腰かけていた。・・[彼は]これほどの小麦色をした素晴らしい肌、魅力的な体つき、光に透き通るような細い指は一度も見たことがなかった。・・名前は何というのだろう、どこに住んで、どんな人生を送り、どんな過去をもっているのだろう? (フロベール感情教育』) 25

 

笑いや涙はどちらも情念に由来する。情念と密接に結ばれているから、笑いも涙も、それが誠実であればあるだけ、意志には従わなくなる。(ダンテ『神曲・煉獄篇』) 28