[今日の絵] 12月前半
1 Anton Einsle : 鏡の前の女性 1841
「鏡」の絵が面白いのは、描かれている人の体を二方向から見られるだけでなく、鏡で自分を見ている当の人の自己反射の表情は、普通は他人に見せない顔だからである。アインスレ1801–1871はオーストリアの画家
2 Francine Van Hove
「彼女は、自分が綺麗に見えるのだという意識が加わったせいか、よりいっそう綺麗に見えた」(オースティン『マンスフィールド・パーク』)。鏡を見る時、ナルシストになる人とならない人がいるのが面白い、ヴァン・ホーヴ1942~は現代フランスの女性画家
3 Jan van Eyck : Woman at Her Toilet 16Ce
横に女中がいるが、質素な更衣室からして、そう高貴な女性でもなさそう、鏡で自分の体を横目で見ているが、どこかさえない表情、肉体も魅力的というわけでもなく、やや貧相、ファンエイクはなぜこの女性を描いたのか
4 Joseph Caraud : La bonita doncella
タイトルは「可愛い乙女」、裕福な家らしいから女中だろうか、眼は自分を見ている、「私って結構いけるじゃない」と、自分の顔の楽しんでいる。ジョセフ・カラド1821-1905はフランスの画家
5 Suzanne Valadon : 鏡で自分を見ている女性 1920
シンプルだが、鏡で自分を見ている女性の基本形、彼女は口の表情からして、たぶん自分の体に満足。ヴァラドン1865-1938はフランスの女性画家で、モーリス・ユトリロの母、国立美術学校生のとき、女性画学生には禁じられていた男女の裸体画を積極的に描いた
6 Andre Henri Dargelas : See,You Look Lovely!
タイトルがいい、 猫ちゃんにも鏡を見せたいよね、でも猫ちゃんはたしかに鏡を見るけれど、そこに「自分を」見ていないのです。ダルジェラ1828-1906はフランスの画家で、少年少女をたくさん描いた
7 Agathe Röstel: The Little Beauty 19Ce
幼い女の子もしっかり鏡を使う、位置がやや高い鏡は、本来は姉のか、「小さな美人」は真剣な表情で自分の顔を凝視。アガーテ・レステル1868-1926はドイツの女性画家、子どもをたくさん描いた
8 Alfred Stevens : 役の研究 1888
俳優の女性だろう、どんな役を演じるのか、まだネックレスの位置が決まらないのか試行錯誤中の表情。スティーブンス1823-1906はベルギーの画家
9 Gugliemo Zocchi : 鏡
この女性は、下着のままで帽子が似合うかどうか試しているのが面白い、お嬢さん、服をキチンと着てから、その次が帽子ではないでしょうか? 横に掛かっている絵もユニーク。グリエルモ・ゾッキ1874-1932は女性をたくさん描いたイタリアの画家
10 Alexander Deineka : Night 1935
この女性は、顔も、背中、肩、腕も逞しい。にっこりしているのもいい。デイネカ1899-1969はロシア(旧ソ連)の画家で、スポーツ選手などをたくさん描いた
11 Balthus : Japanese Girl with a Black Mirror 1967
バルテュス1908-2001の妻は日本人だが、日本人女性をたくさん描いたわけではない、しかしこれは「日本人の少女」、鏡を見ている姿を真横から描いた、この体勢も美しい、しかも「(鏡面も)黒い鏡」は珍しい
12 Eugen Joseph Lejeune : In their fanciest dresses
「一番好きなドレスを着て」鏡に見入る二人の女の子、仲良しなのだろう、自分を見ると同時にお互いを見比べている。ウジェーヌ・ルジューン1819-98はフランスの画家、風俗画や歴史画を描いた
13 コンスタンティン・ラズモフ
鏡が小さいと顔の全部は映らない、この鏡には口のあたりが見えているはず、だからそこだけを見る視線。ラズモフ1974~はロシアの画家、美しい官能性のある女性画を描く