[演劇] NTライブ シェイクスピア『夏の夜の夢』 シネ・リーブル池袋 7月18日
(写真↓、平土間を広くして、その中央に小さな可動舞台があり、妖精たちは空中ブランコで接近、舞台を囲む観客は森の木々に見立てられ、全面的に観客が参加する祝祭劇に)
上演は2019年、ロンドンのブリッジ・シアター。演出はニコラス・ハイトナー、『夏夢』をハチャメチャに楽しい祝祭劇にした。登場人物全員が、ビートの効いたロック風の音楽に合わせて踊りまくる。平土間席の観客たちも一緒に体を動かす。観客は森の木、森全体がお祭で、とにかく楽しい。ただ、観客は若い男女が多く、科白の言葉遊びの部分に反応しないことも多いから、シェイクスピア劇は初心者か。原作に、アドリブの科白や仕草が付け加わっており、全体が3時間10分と通常より長い。でもサーカスのように動きが多彩なので、飽きさせない。物語を少し変えたところが、面白い。原作では、森の妖精たちの王オベロンが王妃ティターニアに薬を掛けてロバと寝させるのだが、それを逆転して、王妃が王に薬を掛けてロバのボトムを抱かせる。だから同性愛になるわけで、他にも妖精パックは、ライサンダーとディミートリアスに原作以上に薬を掛けるので、彼ら二人の男も同性愛っぽくなる(女たちにも掛けた?レズっぽい?)。要するに森の祭典は、異性愛あり同性愛ありで、豊かな性愛の祝祭なのだ。だからそれと対照するために、冒頭のアテネの公爵テセウスとヒュポリテの婚約式が、修道女のように身を固めたお堅いものになっている↓。テセウスとヒュポリテは、森の妖精の王オベロンと王妃ティターニアと同一人物が演じるから、街ではお堅い夫婦、森ではハメをはずして性的に奔放になる、というお話なのだ。ヒュポリテは本当はアマゾンの女王なのに、ガラス箱に閉じ込められた「箱入り娘」になっていてとても可笑しい。(写真↓、左のスーツ姿がテセウス)
だれもが若々しく、生き生きしているのが、とてもいい。特にパックとティターニア(写真下↓)。そして、ヘレネもハーミアも現代娘っぽくて、かわいい。
1分弱の動画が、とても美しいです。
http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/media/video/ntlout35-a-midsummer-night-s-dream/CK03N-wKOTk
ヘレナとハーミアの喧嘩シーン、若々しくていい。